人気ブログランキング | 話題のタグを見る
NEW POST

【コラム】旅で出会った空と、私が纏う色

海外の空の色は、日本のそれとは比べ物にならないほど青い。吸い込まれるように青くて、どこまでも突き抜けるように高い。
そんな空の下で生まれ育ってきたからだろうか、彼らの色彩センスは、やはり私たち日本人のセンスとは違う。

南仏の夏の太陽の下で咲くひまわりのような真っ黄色の壁。深い海の底のような濃紺のドア。ひょんなところで出会う路地裏に施されたモザイクタイルのアートは、絵の具をそのまま垂らしたかのように鮮やかで奇抜で、それでいて不思議な調和を奏でていたりする。

そんな風に旅先で出会う「色」を意識しはじめてからは、旅の目的そのものを「色に出会うこと」にしたこともあった。

【コラム】旅で出会った空と、私が纏う色_f0380712_10353333.jpeg

今では観光地として人気の町、モロッコ山間部に位置するシャウエン。観光地とひとくちに言っても、ここは結構な秘境の地だと思う。モロッコ弾丸トリップの中、電車やバスを乗り継ぎ約9時間ほどかけてわざわざマラケシュからシャウエンへ足を延ばしたのも、もちろんあの「青」を見るためだった。

【コラム】旅で出会った空と、私が纏う色_f0380712_10394562.jpeg

バルセロナで出会った、ガウディ建築のあのなんとも言えない奇抜な色使い。ボケリア市場に並ぶ、原色をそのまま映したかのような果実や野菜たち。それらもまた、鮮明に脳裏に残っている。

その頃からだろうか。私の中の色彩センスや、色に対する感じ方や見え方が変わってきたように思うのは。

知らず知らずのうちに、海外の空の色や海の色を求めるかのように、濁りのない青やターコイズブルーのファッション小物やインテリア雑貨を集め、今まで気にも留めなかったような、明るくパッと目を惹く色の服を選ぶようになった。そんな色に包まれていると、とても心地が良い。

海外の人々はいくつになっても、自分が好きな自分らしい服を着て、色を纏う。同時にそれが羨ましくてたまらなくなった。歳も体型も、人目も関係ない。日本人のように、異性に媚びるようなこともない。自分が「好き」と思えるものだから、皆自信を持ってそれらを纏う。それ故、似合うのだ。

旅先で出会う色や人々、文化は、私の価値観を変え、広げてくれたのだと思う。
1〜2年前に買った服を着てみると、あのときは気に入っていたはずのものも、今となってはなんだかしっくりこなかったりする。ちょっとくすんだ、まわりと同調するような色や形は、どうも落ち着かない。側から見れば変わらず似合っているのかもしれないが、自分の目から見ると、どうにも見た目と中身がちぐはぐなように見えてしまう。
それはきっと、旅を通して私のマインドが変わったから。
日本人特有の「和」を意識した、言ってしまえば少し窮屈にさえ思える壁が消え、目に映る色が変わったから。

これからも、そんな価値観や発見を見つけるために、私は旅に出るのだと思う。
心地よいと思える色を纏い、心地よいと思える景色や空を目指して――。


by cercatrova-n | 2017-11-02 08:59 | コラム-Column-

旅するシナリオライター/トラベル&シナリオライター・ホリタナツミのブログ。日々のことや旅のことなど徒然と……


by cercatrova-n